岩城弁護士の過労死問題最前線(春告鳥第9号)
◆2018年7月24日、新しい過労死防止対策大綱が閣議決定されました。2015年の策定から3年経ったことから、私も委員になっている過労死等防止対策推進協議会で約半年間かけて見直し作業を行ったものです。主な追加点は、① 勤務と勤務の間に一定時間以上の間隔を置く「勤務間インターバル制度」の導入推進、②過労死防止の重点業種として自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療の5つに加えて新たに建設業とメディア業界(放送・広告など)を追加、③若年労働者に加えて高齢労働者、障害を持つ労働者についても過労死防止対策を行うことを追加、などです。
◆8月4、5日、過労死遺児交流会(愛称「かいじゅうの会」)が今回は琵琶湖で開かれました。前年を超える約20家族、遺児39名が参加し、総勢約90人の大イベントとなりました。私が声をかけたご遺族とお子さん2人も参加してくれました。
◆10月30日、「平成30年版過労死白書」が発表されました。過労死等に関する現状のデータ、調査・研究結果の概要、過労死防止対策の実施状況等が詳細に報告されているほか、関係法令や通達も掲載され、また多くのコラムも充実しています。
◆2014年12月に設置された過労死等防止対策推進協議会の委員となって丸4年が過ぎ、5年目に入 りました。毎回の出席や発言準備など大変ですが、責任の重さを感じながら頑張っています。
◆2001年、私が「笑工房」の小林康二さんに「過労死をテーマにした落語を作ってもらえませんか」と お願いし、過労死落語「エンマの怒り」(最近の演題は「エンマの願い」)が生まれました。演じてくれた桂福車さんはその後17 年間、各地の過労死啓発シンポジウムなどで上演してくれました。毎日新聞夕刊でこの過労死落語を題材にした記事が2017年5月から2018年9月まで34回にわたって長期連載されました。桂福車さんは残念ながら2018年2月急死しましたが、桂福車さんと松井宏員記者の共著の形で 「過労死落語を知ってますか」という本が出版されました(新日本出版社、1300円(税別))。皆さま、ぜひお読みください。12 月6日、私も呼びかけ人の一人となった出版記念パーティーが開かれ、約170人もの参加があり感無量でした。福車さんの過労死落語は桂三風さんが引き継いでくれるとのことで嬉しく思います。
(いわき総合法律事務所 事務所ニュース「春告鳥第9号」 2019年1月1日発行)