令和2年度の過労死等の労災補償状況が公表されました
令和3年6月23日、厚生労働省が取りまとめた令和2年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました(詳しくは、下記リンク先をご確認ください)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19299.html
労災補償状況の概要は以下のとおりです。
1 概観
過労死等の労災請求件数は、全体で2835件で、そのうち支給決定件数は802件でした。
2 脳・心臓疾患に関する事案について
(1) 請求件数は784件(うち死亡は205件)で、そのうち支給決定件数は194件(うち死亡は67件)でした。
(2) 業種別に請求件数及び支給決定件数の上位3位までをみると、いずれも以下のとおりでした。
1位:運輸業
2位:小売業
3位:建設業
(3) 年齢別に請求件数及び支給決定件数の上位3位までをみると、以下のとおりでした。
(請求件数) (支給決定件数)
1位:50~59歳 1位:50~59歳
2位:60歳以上 2位:40~49歳
3位:40~49歳 3位:60歳以上
(4) 労働時間別に認定件数をみると、評価期間が発症前1か月のケースで最も多いのは100~120時間未満の27件、評価期間が2~6か月のケースで最も多いのは80~100時間未満の75件でした。
また、60~80時間未満での認定件数も17件ありました。これは出張の多寡や業務の不規則性などが総合考慮された結果となります。
3 精神疾患に関する事案について
(1) 請求件数は2051件(うち自殺は155件)で、そのうち支給決定件数は608件(うち自殺は81件)でした。
(2) 支給決定件数608件中、労働時間を調査するまでもなく明らかに業務上であると判断された件数は279件で、労働時間が調査された事案のうち、1か月当たりの平均時間外労働時間が80時間未満の事案は179件でした。
(3) 支給決定件数608件中、上位5位の出来事についてみると、以下のとおりでした。
1位:パワーハラスメント 99件
2位:悲惨な事故や災害の体験・目撃 83件
3位:同僚からのいじめ・嫌がらせ 71件
4位:仕事内容・仕事量の大きな変化 58件
5位:特別な出来事 54件
4 裁量労働制対象者について
(1) 脳・心臓疾患については、決定件数6件中、支給決定件数は1件(認定率16.7%)でした。
(2) 精神疾患については、決定件数23件中、支給決定件数は6件(認定率26.1%)でした。